孤島で誰かと独り暮らし。
僕は次の日が休みだったので目覚ましをかけずに寝ていた。
じゅうたん地の床にベッドはなく布団を敷いて寝ていた。
大学三年生の夏のある日である。
僕は地元の岐阜をはなれ、大阪でひとり暮らしをしていた。
朝10:00頃、暑がった僕はタオルケットを半無意識で蹴って、右足を布団からだした。
ピチョン。
右足がピチョンってした。
ピチョンとしたなぁと思って二度寝しようとした。
え…?
なんだ。右足がピチョンとする日ってなんだ。
飛び起きて僕は唖然とした。
部屋が水浸しで寝てた布団が島になっている。
どういうこと?どっから水が流れてきている!?
べるぜバブと住んでたっけ?おねしょされた?
トイレのタンクから漏れていた。
ホースが外れていたようだ。下水があふれたんじゃなくてマジで良かった。
トイレを確認した後、タオルを取って布団に避難して足を拭く。
飼っているジャンガリアンハムスターのゲージにも水が流れこみそうになっている。
オイ、大丈夫?
向こうのゲージの島に住んでいるオイと目が合った。
いつも、
「おい、飯だぞ。」
「おい、散歩だ。」
とか呼んでるから『オイ』って名付けた。テキトー。
何とか向こうの方からスマフォがプカプカやってきたから大家さんに電話した。
40代後半の大家さんでとても優しいおじさんだ。
「あ、そうですか。そしたら今すぐそちら向かいますね。」
あまり驚いてなかった。慣れてるようだった。
しばらくして業務用のオムツを持った大家さんがやってきた。
そうか、なるほどぉ~と思った。でもなんでこの人そんなにいっぱいオムツ持ってんだ。
結局、水道屋さんを呼ばずとも大家さんがホースをもどしてくれた。
オムツでだいたいの部屋の水を吸い取れた頃、もう16:00過ぎになっていた。
大家さんとふたりで一日中オムツを床に押し当てていた。
ホントにありがとうございました。
とりあえず一息ついた。そういえば洗濯物干しっぱなしだ。
取り込んで濡れないように布団の上で畳んでいた。
畳もうとしていたチノパンの裾からゴキブリが飛んでいってテレビにとまった。
そして裏側に消えていった。
今日はいったいなんて日だ!!
なんだ!なんなんだ今日!!!!
こんな小峠さんのセリフをマジで叫ぶ日がくるなんて。
最悪だ。ジメジメしてて今の俺の部屋はゴキブリにしたら楽園だろう。
いままで2年半住んでてゴキブリなんか見たことなかったのに。
クッソが…。
俺、全然ひとり暮らしじゃない。黒くてツヤツヤのやつと一つ屋根の下。
居なくなってしまったものはしょうがない。
布団に寝っ転がってパソコンでYOUTUBEを見た。
パソコンと布団のすき間をゴキブリがゆっくり歩いてた。
あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!
もうお前にこの部屋あげる!!!
俺がわるかった!!許してくれ!!!
キングクリムゾンみたいな顔してたと思う。
叩こうにも良いすき間にいるから殺せない。
くぅ…。
ゴキブリは突然高速で走りだし、オイのゲージを経由して本棚のほうに隠れていった。
ブロッコリーを食っていたオイは突然真横を走っていった黒いのにメッチャ驚いていた。
そしてバッと俺の方を見て目が合った。
「ご主人、今の何でした!?」
って顔してた。お前かわいいな。そしてごめん。チーズ少しやろう。
その日の夜は怖くてなかなか寝付けなかった。
オイは回し車をずっとカラカラやってる。
強心臓だな。
次の日、大学から帰ってくるとゴキブリは浴槽にいて、登れなくなっていた。
俺はめちゃくちゃ悪くニヤけた。
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無事ころして、治ったトイレに流しました。